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花的故事(二)月见草

花的故事(二)月见草

作者: jimaiwa | 来源:发表于2018-08-09 16:30 被阅读0次

    二. 月见草

    寺田寅彦

      那是我上高中时,住在寄宿舍那年夏末的事情。“天亮无常”是刚开始睡在寄宿舍二楼记住的一句话。经常被睡相不好的邻舍男孩欺负吵醒,时钟才指向四点多。夜里,半开着的明晃晃的寝室玻璃窗亮起了曙光,睡眼朦胧地,还觉得是在并列吊着的蚊帐中,做着新的旧的黄绿色的梦。窗户的下框处可见扁柏高高的树梢,从那上面,好像刚睡醒的后山在窥视着。我扔下未叠好的被褥,偷偷溜出去,下到了运动场,沐浴在宽广的草地的露珠里,赤脚从趿拉着的士兵靴中拔出来。受惊的蚱蚂拍着翅膀飞了起来,草甸周围被小松原包围着,边上到处盛开着月见草花。在那草中乱踩乱踏,绕着运动场跑了一圈,这时红火的阳光印染了钟楼,伙食房的井台刚开始变得朝气蓬勃。这时,正如我在某天夜里所做的奇妙的梦。正好是在运动场,在更加广阔的草原上,沐浴在朦胧的月光中,好像不是在现实中似的。淡淡的夜雾停留在草叶的末端,四面似乎被薄薄的绢包了起来。从哪里传来草花似的芳香,却不知是什么香味。从脚下朝四处奔去,连接着一大片盛开的月见草花。与我并排走着的一位年轻的女孩,脸上有着被世人认为是青白的轮廓,在月光中默默地走着。淡灰色衣服的长长袖子美丽无比,同样也是月见草染出来的。如何会做这样的梦,如今已无法考证。从梦幻中醒来,玻璃窗已微微发白,可以听到虫子的鸣叫。出了身虚汗,心如绞痛。一起来就离开被褥,下到运动场,在月见草花盛开的运动场周围,到处跑了不知多少遍。从这以后,虽然每天早上也去运动场,却没有像从前那样在这里跑步时的爽快心情了。不用说感到非常孤单,从那以后,我似乎渐渐地消减了自己的体重,沉迷于忧郁和空想之中。我的不治之症,就是那时得的。

    二 月見草

     高等学校の寄宿舎にはいった夏の末の事である。明けやすいというのは寄宿舎の二階に寝て始めて覚えた言葉である。寝相の悪い隣の男に踏みつけられて目をさますと、時計は四時過ぎたばかりだのに、夜はしらしらと半分上げた寝室のガラス窓に明けかかって、さめ切らぬ目にはつり並べた蚊帳(かや)の新しいのや古い萌黄色(もえぎいろ)が夢のようである。窓の下框(したがまち)には扁柏(へんばく)の高いこずえが見えて、その上には今目ざめたような裏山がのぞいている。床はそのままに、そっと抜け出して運動場へおりると、広い芝生(しばふ)は露を浴びて、素足につっかけた兵隊靴(へいたいぐつ)をぬらす。ばったが驚いて飛び出す羽音も快い。芝原のまわりは小松原が取り巻いて、すみのところどころには月見草が咲き乱れていた。その中を踏み散らして広い運動場を一回りするうちに、赤い日影が時計台を染めて賄所(まかないしょ)の井戸が威勢よくきしり始めるのであった。そのころある夜自分は妙な夢を見た。ちょうど運動場のようで、もっと広い草原の中をおぼろな月光を浴びて現(うつつ)ともなくさまようていた。淡い夜霧が草の葉末におりて四方は薄絹に包まれたようである。どこともなく草花のような香がするが何のにおいとも知れぬ。足もとから四方にかけて一面に月見草の花が咲き連なっている。自分と並んで一人若い女が歩いているが、世の人と思われぬ青白い顔の輪郭に月の光を受けて黙って歩いている。 薄鼠色(うすねずみいろ)の着物の長くひいた裾(すそ)にはやはり月見草が美しく染め出されていた。どうしてこんな夢を見たものかそれは今考えてもわからぬ。夢がさめてみるとガラス窓がほのかに白んで、虫の音が聞こえていた。寝汗が出ていて胸がしぼるような心持ちであった。起きるともなく床を離れて運動場へおりて月見草の咲いているあたりをなんべんとなくあちこちと歩いた。その後も毎朝のように運動場へ出たが、これまでにここを歩いた時のような爽快(そうかい)な心持ちはしなくなった。むしろ非常にさびしい感じばかりして、そのころから自分は次第にわれとわが身を削るような、憂鬱(ゆううつ)な空想にふけるようになってしまった。自分が不治の病を得たのもこのころの事であった。

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