小王子 第三章 花(一)
五日目(いつかめ)、またも羊のおかげで、王子様の人生のもう一つの秘密が明かされた。(明かすーあかす)いきなり(突然)何の前触れ(まえぶれー前兆ーぜんちょう)もなく、王子さまは僕に聞いてきた。ずっと黙って考えていた問題がようやく答えを見出したように。(見出すーみだす)
「羊って、小さな木を食べるなら、花も食べるんじゃないかな。」
「羊は見つけた物は何でも食べるよ。」
「刺(とげ)のある花でも?」
「そう、刺のある花でもね。」
「だったら、刺って、何のためにあるの?」
「そんなことは知らない。」
その時僕はエンジンに固く食い込んだボルトを外すのに必死になっていた。
故障は極めて(極めるーきわめる)深刻(深刻ーしんこく)だった。飲み水も底(そこ)を尽きかけていたし、最悪(さいあく)な事態に怯えていた。(怯えるーおびえる)
小王子 第三章 花(二)
「ねえ、刺は何のためにあるの?」
王子さまは一度質問をしたら、その答えを聞くまで絶対に諦めない。僕は、ボルトにいらいらしていたので、考えもせず、適当に答えた。
「刺は何の役にも立たないよ。ただの花の意地悪さ。(意地悪ーいじわる)」
「え?」
しかし、一瞬の沈黙(ちんもく)の後、王子様は憤然(ふんぜん)として言い返してきた。
「そんなこと、信じない。花は弱くて無防備(むぼうび)なんだ。でも、出来るだけのことをして、安心したいんだ。刺があれば、怖い存在になれると思っているんだ。」
小王子 第三章 花(三)
僕は返事もしなかった。こんなことを考えていたのだ。このボルトが動かないなら、金槌(かなづち)で叩き壊す(たたきこわす)しかないな。
しかし、王子さまは再び割り込んできだ。
「でも君、君は思ってるの?花が」
「違う違う。何とも思っていないよ。思いついたことを適当に言っただけさ。僕は今、重要なことで頭がいっぱいなんだよ。」
「重要な...こと?」
王子さまは僕を見ていた。金槌(かなづち)を持って、指先(ゆびさき)は機械油(きかいあぶら)で真っ黒(まっくろ)。王子様にとっては、酷く(ひどく)不格好(ぶかっこう)に見える物の上に屈み込んでいる。(屈むーかがむ)
小王子 第三章 花(四)
「君の話し方は大人みたいだ。何もかも(すべて)ごっちゃ(杂乱,混乱)混ぜにしている。」
そう言われて、僕はちょっと恥ずかしくなった。王子様は本当に怒っていた(怒るーおこる)。金色の髪は風に揺れていた。
「僕は、赤ら顔(あからがお)」
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