実家の山村に男は一人もいない。我々は男に頼らず、村の神社に祀られる「子宝鋼」という金属の塊を通して身ごもるのだ。
「子宝鋼」は、男根のように見え、小さなエリアンの死体にも見える謎の金属。色は銀色で、表面はツルツル。それは観音様から頂いた宝物だと、おばあちゃんに言われたが、よくテレビを見ている私からいうと、宇宙人のモノや隕石である可能性が高い。
もちろん、「子宝鋼」だけで足りないので、道具としての男も要る。20歳になった女の子は村を出て、男を騙して交際し、親にあいさつするという嘘で誘拐する。
最初に儀式を見たのは、五歳の時だ。村の若者は、神社付近の灰色の泥を全身に塗り、「子宝鋼」を回りながら踊って、人類の言語に属さない呪文を唱える。
その時連れてこられたのは二十代の男で、上海ガニのように縛り付けられた彼は、「子宝鋼」の所で跪かれていた。
恐怖と悲しみが満ちた目線で私たちを眺める彼は、悲鳴したり、罵ったりして、また村人の許しを求めようとしたが、誰も彼を相手にしなかった。
村人は狂人のように踊って、歌って、呪文を唱えて。体力を使い果たすまで踊り、最後まで踊った人は「子宝鋼」から子供を授けられる人で、「妊婦」と言われる。
「妊婦」は犠牲の子羊を殺すように、男の喉を掻き切り、噴出した血を鋼にかけた後、血まみれの鋼に跨り、それを愛撫したりキスしたりしながら大きな呻き声を出した。その後、参加者はオーガズムで鋼に倒れている「妊婦」を三周回りながら赤ちゃんの泣き声を真似した。儀式の最後に、「妊婦」は専用の小屋に運ばれて、出産を待つ。
今年、男を誘拐する役が私に回った。だけど、誘拐する目的で付き合った男のことを本気で好きになった。村に向かう途中のサービスエリアで村の事実をすべて彼に話した。彼は啞然して顔色も蒼白になった。10分くらい考え込んだ後、彼は薄ら笑いをして、私を慰めるようにこう言った。
「わかった。大丈夫。君の実家に行かないなら安全だろう。じゃあ、二人で逃げようよ。心から愛してるから、きっと大丈夫だ」。
彼の優しい言葉を聞いて、私は泣きながらうなずいた。
プランを変更して彼氏の実家へ向かうようになった。彼の実家も山奥にある村で、村人はみんな満面の笑顔で私を迎えてきた。だが、その村に女の人誰もいないことに気づいた時、もうすでに手遅れた。
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