星野道夫

小さなことだけど、食文化を共有することは、相手と向き合うことだ。#長い旅の途上#

同じ場所に立っていても、さまざまな人間が、それぞれの人生を通して別の風景を見ているのかもしれない。#長い旅の途上#

"Life is what happens to you while you make other plans." #長い旅の途上#

弱者は、守らなければならないものを持ったことにより、強者との立場を時として逆転させてしまう。

一人だったのことは、危険と背中合わせのスリルと、たくさんの人々との出会いを与え続けてくれた。その日その日の決断が、まるで台本のない物語を生きるように新しい出来事を展開された。それは実に不思議なことでもあった。バス一台を乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。人生とは、人の出会いとは突き詰めればそういうことなのだろうが、旅はその姿をはっきりと見せてくれた。#十六歳の時#

ぼくたちの生活の中で、一つの大切な環境というのは、人間を取り巻く生物の多様性ということだろう。それは決して生物の世界にとどまらず、人間社会の中における。文化の多様性にもあてはあることができるのではないだろうか。ぼくたちの考え方を刺激し、思考に豊かさと選択の機会を与え、ときにはぼくたちの中に存在するいろいろな問題を解決するための方向を与えてくれるかも知れない。

僕たちが健康を維持してゆくために、いろいろを食べ物が必要なように、同じことが精神の健康にも必要なのではないだろうか。画一性、それは僕たちの思考を鈍らせ、次の精神の荒廃へと導いていくのかもしれない。生物の多様性の存在は、何よりも僕たち自身をほっとさせる。そしてぼくたちがだれなのかをおしえつづけてくれる。オオカミのことを考えながら、そんな気がしてならなかった。