和人と和人の手の熱さと、抱き寄せてきた腕の強さを思い出して、俺は顔が熱くなるのを感じた。 和人はこれが普通だよと言うけれど、何か違う気がする。 和人が俺に教えてくれる事はたいていは正しいけど、ちょっと違う時もあるような気がする……。 でも、何がどう違うのか俺には解からない。 だって俺は、和人と和人の言う事しか知らないで、今まで過ごしてきたのだから……。 (このままでいいのかな……) このまま和人に頼りきりでいいのだろうか。 もっと一人で考えたり経験したりして学ぶべきなんじゃないだろうか。 最近の俺はこんな事ばっかり考えて悩んでいる。
毎度のことながら……昨日は弟が面倒かけて申し訳なかった」 会議が始まるなり、高宮委員長は和人、理山先輩、俺を見回して頭を下げた。 そして真っ先に声をかけてくれたのは俺だった。 「昨日は大丈夫だったか、上杉。まだ本調子じゃないのなら休んでもよかったのに」 「はい大丈夫ですありがとうございます!ご心配かけて申し訳ありませんでした!」 「あまり無理するなよ」 俺の事を心配してくれての言葉だった。委員長は本当に優しい方だ。 からりと元気を装って礼を言った俺だったが、内心はどうしようもなくみじめな気分だった。 高宮委員長は俺の憧れの人だ。 優秀で冷静沈着
人望も厚く、部下には毅然としつつも思いやりをもって接してくれる――人の上に立つリーダーとしてお手本になるような方だ。将来は俺もこんな当主になりたい。 だから、昨日のように情けないところをさらして、こうして気まで遣ってもらった事が情けなかった。 「昨晩は弟さん、帰ってこなかったんですか?」 理山先輩が問うと、委員長は首を横に振って溜息をついた。 「帰ってこなかったよ。きっと外の連中とつるんでいるんだろうな。本当に、どうしようもないヤツだ」 昨日の放課後の事だった。 別件で単独調査をしていた俺の元に、商店街へ外部の人間が侵入して来たという連絡が飛び込んできた。
駆けつけてみると、確かに数名のギャングらしき人物がいて、驚いた事にその中には高宮陸の姿もあった。 高宮陸は委員長の双子の弟で、毎日のように風紀委員の御用になるような超要注意人物だ。 俺は大っ嫌いだった。粗暴な振る舞いに偉そうな態度――尊敬する高宮委員長とはまるで正反対の性格をしていて、委員長の体面も考えず勝手の限りをつくすからだ。 そしてそんな俺をバカにする態度をとってくるもんだから、余計に我慢ならなかった。 だから俺は、高宮陸だけは自分の手で捕まえたいと思っていた。 ギャング達と高宮陸が親しげに談笑している光景を目の当たりにして、俺は愕然とした。
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