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小王子 第二章 羊(ひつじ)(一ー四)

小王子 第二章 羊(ひつじ)(一ー四)

作者: 风一宛 | 来源:发表于2019-01-07 16:07 被阅读0次

小王子 第二章 羊(ひつじ)(一)

 こうして僕は、六年前、サハラ砂漠で飛行機が故障(こしょう)するまで、心を許して話せる相手に出会うこともなく、一人で生きてきた。

 飛行機は、エンジンのどこかが壊れていた。整備士(せいびし)も乗客(じょうきゃく)も乗せていなかったので、僕は難しい修理の仕事を一人でやり遂げるしかなかった。死活(しかつ)問題だった。飲み水は一週間分あるかないかだった。

 最初の夜、僕は人の住む場所から千マイルも離れた砂(すな)の上で眠った。大海原(おおうなばら)を(いかだ)で漂流(ひょうりゅう)する遭難者(そうなんしゃ)より、ずっと孤独(こどく)だった。

小王子 第二章 羊(ひつじ)(二)

 だから、夜明け(よあけ)に小さな可愛らしい声で起こされた時、僕がどんなに驚いたか想像してみてほしい。その声は、こう言った。

 「お願い、羊(ひつじ)の絵を描いて。」

 「え?」

 「羊を描いて。」

 雷(かみなり)に打たれた(打つ被動)みたいに飛び起きると、目を擦って(擦るーこする)辺りを見回した。そこには、とても不思議な子供が一人いて、僕を真剣に見つめていた。

 僕は突然現れたその子供を目を丸くして見つめた。何度も言うけれど、人の住む所から千マイルも離れていたのだ。しかしその子は、道に迷っているように見えなかった。疲れや飢え(うえ)や渇き(かわき)で死にそうになっているようにも、怖がっているようにも見えなかった。人の住む所から千マイルも離れた砂漠を真ん中にいながら、途方に暮れる(とほうにくれるー道に迷う)迷子(まいご)と言った様子は少しもなかったのだ。

小王子 第二章 羊(ひつじ)(三)

 ようやく口が聞けるようになると、僕はその子に尋ねた。

 「君は、こんな所で何をしているの?」

 しかしその子はとても大切なことのように、静かに繰り返すだけ。

 「お願い、羊の絵を描いて。」

 馬鹿げた話だが、人の住む所から千マイルも離れて、死の危険に曝されている(曝すーさらす)というのに、僕はその子に言われるままに、ポケットから一枚の紙切れ(かみきれ)と万年筆(まんねんひつ)を取り出していた。だけどそこで、僕が一生懸命勉強してきたのは地理と歴史と算数と文法(ぶんぽう)だけだったことを思い出して、少し不機嫌になりながら、絵は描けないんだと、その子に言った。

小王子 第二章 羊(ひつじ)(四)

 「そんなの構わないよ。羊を描いて。」

 僕は羊の絵なんか描いたことがなかったので、自分に描けるたった二つの絵のうちの一つを描いてあげた。ボアの外側(そとがわ)の絵だ。

 その時男の子がこういうのを聞いて、僕はびっくりした。

 「違う違う。ボアに飲み込まれた象なんて要らないよ。ボアはとっても危険だし、象は結構場所塞ぎ(塞ぐーふさぐ)だから。僕の所はとっても小さいんだ。ほしいのは羊。羊を描いて。」

 そこで僕は、羊を描いた。

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