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疑心暗鬼 ~遠くの国から~

疑心暗鬼 ~遠くの国から~

作者: 广井佑树 | 来源:发表于2016-07-15 20:51 被阅读10次

    夜中。アメリカ、寮の部屋。ぼくは、留学中であった。「日本に地震が来ているぞ。」ルームメイトが叫んだ。彼のパソコンを覗き込んだが、韓国語で書かれたページからは何も消化できずにいた。彼がページを進めると、息が止まった。海の中に家や車があった。人の姿はなく、いや、人の生活の跡さえ感じられなかった。

    家族は東京に住んでいる。電話、Skypeで連絡をとろうと試みたが思った通り、通じなかった。寮にいる友達を起こし、携帯を借りて何台もの電話を試したが、結果は予想通り。世界各国の友達がそれぞれの国のニュースをチェックしてくれた。日本が破壊されている映像に、世界級の規模である数値、我が家はもろい。それに祖母は家にいるだろうし、両親は会社、弟は予備校。不安と恐怖、いや、何も感じていなかったのかもしれない。頭より先に体が反応した。その場で動けなくなり、嘔吐した。

    夜が明けた。Facebook, mixiで日本の状況をチェックできた。友達が写真や状況を公開していた。もしかしたら東京にいる家族は無事なのかもしれない。すこしの希望がぼくを空腹に気が付かせた。クッキーを食べたら、冷静な自分が戻ってきた。すこしの眠気さえ感じるようになった。

    連絡を取ることはいまだできず、授業はすべて欠席し、パソコンをずっと見つめ、部屋に閉じこもっていた。Facebookにメッセージが届いていた。近所の幼馴染からだ。我が家近辺は無事であり、ぼくの家族に連絡しているところだという旨の内容であった。この一文がぼくをどれほど救ったことだろう。

    その日の夜中、母からメールがきた。母も家族も全員が無事であるという内容。少なくとも母は生きている。しかし、残りの家族は本当に無事なのだろうか。母はうそをついているのではないのだろうか。遠く離れたぼくに心配させないために。

    翌日、すべての家族からメールが来た。それぞれの場所で帰れずにいたようだ。家もなんのことはなかった。家族もかすり傷一つ負っていない。だが、ぼくは何かを失ったようだ。突然、涙がとめどなくあふれた。それも夜中。

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