《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「ある日私は久しぶりに学校の図書館に入りました。私は広い机の片隅で窓から射す光線を半身に受けながら、新着の外国雑誌を、あちらこちらと引(ひ)っ繰(く)り返して見ていました。私は担任教師から専攻の学科に関して、次の週までにある事項を調べて来いと命ぜられたのです。しかし私に必要な事柄がなかなか見付からないので、私は二度も三度も雑誌を借り替えなければなりませんでした。最後に私はやっと自分に必要な論文を探し出して、一心にそれを読み出しました。すると突然幅の広い机の向う側から小さな声で私の名を呼ぶものがあります。私はふと眼を上げてそこに立っているKを見ました。Kはその上半身を机の上に折り曲げるようにして、彼の顔を私に近付けました。ご承知の通り図書館では他(ほか)の人の邪魔になるような大きな声で話をする訳にゆかないのですから、Kのこの所作(しょさ)は誰でもやる普通の事なのですが、私はその時に限って、一種変な心持がしました。
“有一天,我走进久阔的学校图书馆,坐在长桌的一个角落里,一面沐浴着窗外射来的阳光,一面不断地翻阅着新到的外国杂志。专业教师叫我来查阅与下周有关的专业资料。但是我要查的那些东西总也找不到,因而翻来覆去地借了好几次。最后好歹算是找到自己需要的论文,便专心致志地读起来。这时忽然有人在长桌对面小声叫着我的名字。我抬头一看,原来是K站在那里。他俯身在桌上,把脸靠近我。正如你也知道的,图书馆里是不能高声谈话、妨碍别人的。K的举动本来极平常,谁都会这样做。然而那时我却感到很诧异。
Kは低い声で勉強かと聞きました。私はちょっと調べものがあるのだと答えました。それでもKはまだその顔を私から放しません。同じ低い調子でいっしょに散歩をしないかというのです。私は少し待っていればしてもいいと答えました。彼は待っているといったまま、すぐ私の前の空席に腰をおろしました。すると私は気が散って急に雑誌が読めなくなりました。何だかKの胸に一物(いちもつ)があって、談判でもしに来られたように思われて仕方がないのです。私はやむをえず読みかけた雑誌を伏せて、立ち上がろうとしました。Kは落ち付き払ってもう済んだのかと聞きます。私はどうでもいいのだと答えて、雑誌を返すと共に、Kと図書館を出ました。
K低声问我在学什么?我说查些东西。可是他的脸并没有离开我,仍然低声说我们去散散步吧。我答道稍等一下,就好。他说我等你,就在我面前的空位上坐下来。这时我的精神顿时涣散,杂志也看不下去了。不知怎的,我总觉得K心里有事,是来同我谈判的。我只好阖上没看完的杂志,正准备站起来,K十分平静地问,看完了么?我答道,无所谓。便还了杂志同K一起出了图书馆。
主播介绍本期主播:潇匠
本期编辑:LMN
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