皆さん、こんばんは、zoeです。
听众朋友们大家晚上好,我是今天共读栏目的主播zoe。今天我们继续共读日本作家芥川龙之介先生的《鼻子》。では、一緒に聞きましょう。
鼻子芥川龍之介
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子(でし)の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提ひさげに入れて、湯屋から汲(く)んで来た。しかしじかにこの提(ひさげ)へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷やけどする惧おそれがある。そこで折敷おしきへ穴をあけて、それを提(ひさげ)の蓋ふたにして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸ひたしても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
――もう茹ゆだった時分でござろう。
寺院的浴室照例每天都烧水。徒弟马上就用提桶从浴室打来了热得伸不进指头的滚水。要是径直把鼻子伸进提桶,又怕蒸气会把脸烫坏。于是,就在木纸托盘上钻了个窟窿,盖在提桶上,从窟窿里把鼻子伸进热水。惟独这只鼻子浸在滚水里也丝毫不觉得热。过一会儿,徒弟说:“烫够了吧。”
内供は苦笑した。これだけ聞いたのでは、誰も鼻の話とは気がつかないだろうと思ったからである。鼻は熱湯(ねっとう)に蒸むされて、蚤のみの食ったように むず痒がゆい。
内供苦笑了一下。因为他想,光听这句话,谁也想不到指的会是鼻子。鼻子给滚水烫得蚤咬似的发痒。
弟子の僧は、内供が折敷(おしき)の穴から鼻をぬくと、そのまだ湯気の立っている鼻を、両足に力を入れながら、踏みはじめた。内供は横になって、鼻を床板の上へ のばしながら、弟子の僧の足が上下うえしたに動くのを眼の前に見ているのである。弟子の僧は、時々気の毒そうな顔をして、内供の禿はげ頭を見下しながら、こんな事を云った。
――痛うはござらぬかな。医師は責せめて踏めと申したで。じゃが、痛うはござらぬかな。
内供把鼻子从木纸托盘的窟窿里抽出来之后,徒弟就两脚用力踩起那只还热气腾腾的鼻子来了。内供侧身躺在那里,把鼻子伸到地板上,看着徒弟的脚在自己眼前一上一下地动。徒弟脸上不时露出歉意,俯视着内供那秃脑袋瓜儿,问道:“疼吗?医生说得使劲踩,可是,疼吗?”
内供は首を振って、痛くないと云う意味を示そうとした。ところが鼻を踏まれているので思うように首が動かない。そこで、上眼うわめを使って、弟子の僧の足に皹あかぎれのきれているのを眺めながら、腹を立てたような声で、
――痛(いと)うはないて。
と答えた。実際鼻はむず痒い所を踏まれるので、痛いよりもかえって気もちのいいくらいだったのである。
内供想摇摇头表示不疼。可是鼻子给踩着,头摇不成。他就翻起眼睛,打量着徒弟那脚都皴了,用生气般的声音说:“不疼。”说实在的,鼻子正痒痒,与其说疼,毋宁说倒挺舒服的呢。
しばらく踏んでいると、やがて、粟粒あわつぶのようなものが、鼻へ出来はじめた。云わば毛をむしった小鳥をそっくり丸炙まるやきにしたような形である。弟子の僧はこれを見ると、足を止めて独り言のようにこう云った。
――これを鑷子けぬきでぬけと申す事でござった。
踩着踩着,鼻子上开始冒出小米粒儿那样的东西。看那形状活像一只拔光了毛囫囵个儿烤的小鸟。徒弟一看,就停下脚来,似乎自言自语地说:“说是要用镊子拔掉这个呢。”
今天的共读到此结束,感谢大家的收听。
では、おやすみなさい。
本期监制: 日语之声
本期小编: 沫 言
本期主播: z o e
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