亲爱的小伙伴们,大家晚上好,今天由小野主播继续为我们带来《女生徒》~ では、はじめましょう!
太宰治---《女生徒》
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きのう縫い上げた新しい下着を着る。胸のところに、小さい白い薔薇(ばら)の花を刺繍(ししゅう)して置いた。上衣を着ちゃうと、この刺繍見えなくなる。誰にもわからない。得意である。
我换上昨天新做的内衣。胸口处刺有一朵小小的白蔷薇。上衣一穿上,就看不见这朵花了,所以谁都不知道。为此,我感到相当得意。
お母さん、誰かの縁談のために大童(おおわらわ)、朝早くからお出掛け。私の小さい時からお母さんは、人のために尽すので、なれっこだけれど、本当に驚くほど、始終うごいているお母さんだ。感心する。お父さんが、あまりにも勉強ばかりしていたから、お母さんは、お父さんのぶんもするのである。お父さんは、社交とかからは、およそ縁が遠いけれど、お母さんは、本当に気持のよい人たちの集まりを作る。二人とも違ったところを持っているけれど、お互いに、尊敬し合っていたらしい。醜いところの無い、美しい安らかな夫婦、とでも言うのであろうか。ああ、生意気、生意気。
妈妈正忙着帮人做媒,一大早披头散发地出门去。从我小时候起,妈妈就常为别人的事尽心尽力,虽然我已习以为常,但还是对妈妈的精神感到讶异,深深佩服。也许是爸爸只专注于读书之故,所以妈妈连爸爸那一份也一起做了。爸爸早已疏于社交,但妈妈却不断地与善良的人们接触。虽然他两人个性不同,却能彼此敬重地相处。真是一对没有丑恶的美好又祥和的夫妇,啊!我觉得好骄傲好骄傲。
おみおつけの温(あたた)まるまで、台所口に腰掛けて、前の雑木林を、ぼんやり見ていた。そしたら、昔にも、これから先にも、こうやって、台所の口に腰かけて、このとおりの姿勢でもって、しかもそっくり同じことを考えながら前の雑木林を見ていた、見ている、ような気がして、過去、現在、未来、それが一瞬間のうちに感じられるような、変な気持がした。こんな事は、時々ある。誰かと部屋に坐って話をしている。目が、テエブルのすみに行ってコトンと停(と)まって動かない。口だけが動いている。こんな時に、変な錯覚を起すのだ。
在酱汤温热前,我坐在厨房口,呆望着前面的杂树林。我发现以前也是这样,我总坐在厨房口,以同样的姿势,想着同样的事望着前面的杂树林。瞬间,莫名地想到过去、现在、未来。这种情形常常发生。和某人坐在房里说话,视线往桌子角落的方向移动,然后静止下来,只有嘴巴在动。在这样的状态下产生了奇怪的错觉。
いつだったか、こんな同じ状態で、同じ事を話しながら、やはり、テエブルのすみを見ていた、また、これからさきも、いまのことが、そっくりそのままに自分にやって来るのだ、と信じちゃう気持になるのだ。どんな遠くの田舎の野道を歩いていても、きっと、この道は、いつか来た道、と思う。歩きながら道傍(みちばた)の豆の葉を、さっと毟(むし)りとっても、やはり、この道のここのところで、この葉を毟りとったことがある、と思う。そうして、また、これからも、何度も何度も、この道を歩いて、ここのところで豆の葉を毟るのだ、と信じるのである。また、こんなこともある。あるときお湯につかっていて、ふと手を見た。そしたら、これからさき、何年かたって、お湯にはいったとき、この、いまの何げなく、手を見た事を、そして見ながら、コトンと感じたことをきっと思い出すに違いない、と思ってしまった。そう思ったら、なんだか、暗い気がした。
觉得好像以前的什么时候,自己也曾在同样的状态下,谈论着同样的事,觉得以前看过这张桌子的角落。或是以前发生过的事又悄悄地、原封不动地来到自己面前。即使步行在很远的乡野小道上,我也一定会认为以前来过。步行时,我会顺手啪地摘下路旁的豆叶,然后想着,的确曾在这条路上把豆叶摘下。而且我相信,不管我走在这条路上多少次,自己都将会再把豆叶摘下。有一次洗澡时不经意地看着手,想到之后不管过了多少年,在洗澡时自己也会这么不经意地看着手,若有所感。一这么想,不知怎地,心情就沉了下来。
また、ある夕方、御飯をおひつに移している時、インスピレーション、と言っては大袈裟(おおげさ)だけれど、何か身内にピュウッと走り去ってゆくものを感じて、なんと言おうか、哲学のシッポと言いたいのだけれど、そいつにやられて、頭も胸も、すみずみまで透明になって、何か、生きて行くことにふわっと落ちついたような、黙って、音も立てずに、トコロテンがそろっと押し出される時のような柔軟性でもって、このまま浪のまにまに、美しく軽く生きとおせるような感じがしたのだ。このときは、哲学どころのさわぎではない。盗み猫のように、音も立てずに生きて行く予感なんて、ろくなことはないと、むしろ、おそろしかった。あんな気持の状態が、永くつづくと、人は、神がかりみたいになっちゃうのではないかしら。キリスト。でも、女のキリストなんてのは、いやらしい。
某天傍晚,把饭装到饭桶时,说是灵光乍现也有点夸张,但体内却有某种东西在咻咻地跑来跑去的感觉,该怎么说呢?我想应该是哲学的尾巴!可是一旦放任这些思绪,脑袋和胸口就开始变得透明,一种生命中轻柔地沉静,以一种搓揉凉粉时的柔软触感,慢慢地冲击着我,美丽而轻缓地扩及全身。此时,我并没有想到哲学的东西,只是有一种预感,觉得自己会像只贼猫一般,一声不响地活下去。这种感觉并不寻常,甚至很可怕。如果那样的感觉一直持续的话,也许会变成神灵附身那样。我想到了基督,不过,我可不想当个女教徒。
本期主播
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