《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「私は思い切って自分の心をKに打ち明けようとしました。もっともこれはその時に始まった訳でもなかったのです。旅に出ない前から、私にはそうした腹ができていたのですけれども、打ち明ける機会をつらまえる事も、その機会を作り出す事も、私の手際(てぎわ)では旨(うま)くゆかなかったのです。今から思うと、その頃私の周囲にいた人間はみんな妙でした。女に関して立ち入った話などをするものは一人もありませんでした。中には話す種(たね)をもたないのも大分(だいぶ)いたでしょうが、たといもっていても黙っているのが普通のようでした。比較的自由な空気を呼吸している今のあなたがたから見たら、定めし変に思われるでしょう。それが道学(どうがく)の余習(よしゅう)なのか、または一種のはにかみなのか、判断はあなたの理解に任せておきます。
我想索性向K表白自己的内心。不过,这也不是从那时才开始的。在这次旅行之前,我就有过这样的打算,但是没有找到表白的机会,也没有努力去制造这种机会。因为我没有这样的本领。现在回想起来,那时我周围的人都有点奇特,竟没有一个人肯谈女人的。其中大部分是不知从何谈起吧,然而即使有话,一般也是默不作声的。生活在今天比较自由的空气中,你们一定会觉得奇怪。这是道学的残余,还是一种羞涩呢?那只能凭你的理解去判断了。
Kと私は何でも話し合える中でした。偶(たま)には愛とか恋とかいう問題も、口に上(のぼ)らないではありませんでしたが、いつでも抽象的な理論に落ちてしまうだけでした。それも滅多(めった)には話題にならなかったのです。大抵は書物の話と学問の話と、未来の事業と、抱負と、修養の話ぐらいで持ち切っていたのです。いくら親しくってもこう堅くなった日には、突然調子を崩(くず)せるものではありません。二人はただ堅いなりに親しくなるだけです。私はお嬢さんの事をKに打ち明けようと思い立ってから、何遍(なんべん)歯がゆい不快に悩まされたか知れません。私はKの頭のどこか一カ所を突き破って、そこから柔らかい空気を吹き込んでやりたい気がしました。
K和我是无话不谈的朋友。偶尔也聊聊爱情啦恋爱等问题,但总是局限在抽象的理论中,就连这也是不多谈的。我们谈论的大多是书籍、学问、未来的事业、抱负和修养等等。纵使如何亲密,也不会一下子改变情调,冲破这刻板的生活。我们的关系就是这样,既刻板又亲密。自从我想把小姐的事告诉他以来,不知多少次感到不能开口的苦恼。我真想在K的脑袋上开一个洞,从这里吹进一些和缓的空气。
あなたがたから見て笑止千万(しょうしせんばん)な事もその時の私には実際大困難だったのです。私は旅先でも宅(うち)にいた時と同じように卑怯(ひきょう)でした。私は始終機会を捕える気でKを観察していながら、変に高踏的な彼の態度をどうする事もできなかったのです。私にいわせると、彼の心臓の周囲は黒い漆(うるし)で重(あつ)く塗り固められたのも同然でした。私の注(そそ)ぎ懸けようとする血潮は、一滴もその心臓の中へは入らないで、悉(ことごと)く弾(はじ)き返されてしまうのです。
你会觉得可笑吧。那时对于我来说,可真是天大的困难。就是在旅途中,我也同家里一样胆怯。我一直在寻找机会的心情下观察着K,可是一见到他那奇怪而昂然的神情,就毫无办法了。我觉得他的心脏四周好象涂了一层厚厚的黑漆。我要灌注的血潮,一滴也没能渗进他的心脏,全被反弹了回来。
主播介绍
本期主播:潇匠
本期编辑:LMN
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