《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
「私が三度目に帰国したのは、それからまた一年経(た)った夏の取付(とっつき)でした。私はいつでも学年試験の済むのを待ちかねて東京を逃げました。私には故郷(ふるさと)がそれほど懐かしかったからです。あなたにも覚えがあるでしょう、生れた所は空気の色が違います、土地の匂(にお)いも格別です、父や母の記憶も濃(こまや)かに漂(ただよ)っています。一年のうちで、七、八の二月(ふたつき)をその中に包(くる)まれて、穴に入った蛇(へび)のように凝(じっ)としているのは、私に取って何よりも温かい好(い)い心持だったのです。
“我第三次回故乡,是自那以后又过了一年的夏初。我总是等不到学年考试结束就逃离东京,故乡于我便是那样的亲切。你也有这种感觉吧?故乡的空气不同,土地的气息也别具一格,浓郁地荡漾着对父母的回忆。一年之中,有七、八两个月,被包裹在这种气氛中,犹如入洞的蛇安安详详。
単純な私は従妹との結婚問題について、さほど頭を痛める必要がないと思っていました。厭なものは断る、断ってさえしまえば後(あと)には何も残らない、私はこう信じていたのです。だから叔父の希望通りに意志を曲げなかったにもかかわらず、私はむしろ平気でした。過去一年の間いまだかつてそんな事に屈托(くったく)した覚えもなく、相変らずの元気で国へ帰ったのです。
我天真地认为,没有必要为同堂妹结婚的问题而那样自寻苦恼,不乐意就干脆拒绝,只要拒绝了也就没事了。所以我没有违背自己的意志去迁就叔叔的要求,心里依然很平静。在过去的一年之间,我从没为这件事烦恼过,仍旧高高兴兴地回到故乡。
ところが帰って見ると叔父の態度が違っています。元のように好(い)い顔をして私を自分の懐(ふところ)に抱(だ)こうとしません。それでも鷹揚(おうよう)に育った私は、帰って四、五日の間は気が付かずにいました。ただ何かの機会にふと変に思い出したのです。すると妙なのは、叔父ばかりではないのです。叔母(おば)も妙なのです。従妹も妙なのです。中学校を出て、これから東京の高等商業へはいるつもりだといって、手紙でその様子を聞き合せたりした叔父の男の子まで妙なのです。
但是,这次我一回来,叔叔的神态就变了。他没有象往常那样亲切地要把我搂在怀里。尽管如此,在到家后的四、五天里,自幼高傲的我并没有觉察到。只是一个偶然的机会,使我突然奇怪地发觉了。这种奇怪的变化不仅出现在叔叔身上,婶母、堂妹也变了,连给我写信打听情况,准备中学毕业后投考东京高等商科的叔叔的儿子也变了。
私の性分(しょうぶん)として考えずにはいられなくなりました。どうして私の心持がこう変ったのだろう。いやどうして向うがこう変ったのだろう。私は突然死んだ父や母が、鈍(にぶ)い私の眼を洗って、急に世の中が判然(はっきり)見えるようにしてくれたのではないかと疑いました。私は父や母がこの世にいなくなった後(あと)でも、いた時と同じように私を愛してくれるものと、どこか心の奥で信じていたのです。もっともその頃(ころ)でも私は決して理に暗い質(たち)ではありませんでした。しかし先祖から譲られた迷信の塊(かたま)りも、強い力で私の血の中に潜(ひそ)んでいたのです。今でも潜んでいるでしょう。
我的天性使我不能不思考。为什么我的心情变得这样了?不,为什么他们变得这样了呢?我突然疑惑起来,是不是死去的父母洗清了我那混沌的眼睛,教我一下子看透了社会?在我的心灵的某处,总相信他们纵然离开了这个世界,也会同在世时一样爱我的。虽然那时候我还决不是蒙昧无知的,但是,一团祖传的迷信的疑虑,也顽强地潜藏在我的血液中,恐怕至今还在。
主播介绍
本期主播:行天
本期编辑:LMN
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