《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
それほど女を見縊(みくび)っていた私が、またどうしてもお嬢さんを見縊る事ができなかったのです。私の理屈はその人の前に全く用を為(な)さないほど動きませんでした。私はその人に対して、ほとんど信仰に近い愛をもっていたのです。私が宗教だけに用いるこの言葉を、若い女に応用するのを見て、あなたは変に思うかも知れませんが、私は今でも固く信じているのです。本当の愛は宗教心とそう違ったものでないという事を固く信じているのです。私はお嬢さんの顔を見るたびに、自分が美しくなるような心持がしました。お嬢さんの事を考えると、気高(けだか)い気分がすぐ自分に乗り移って来るように思いました。もし愛という不可思議なものに両端(りょうはじ)があって、その高い端(はじ)には神聖な感じが働いて、低い端には性欲(せいよく)が動いているとすれば、私の愛はたしかにその高い極点を捕(つら)まえたものです。私はもとより人間として肉を離れる事のできない身体(からだ)でした。けれどもお嬢さんを見る私の眼や、お嬢さんを考える私の心は、全く肉の臭(にお)いを帯びていませんでした。
虽然我这样蔑视女人,却又无论如何不能轻视小姐。我的理论在她面前完全失去了作用。我对她简直有着近乎崇拜的爱。看到我把这宗教上的语言用在年轻女人的身上,你也许会觉得诧异吧,但我至今仍然坚信着。一直认为真正的爱情,是同宗教心一样的。每当我见到小姐的脸,便觉得自己的心情也美好起来,一想到小姐,便仿佛觉得高尚的情操马上移到了我的身上。如果说不可思议的爱情有两端,那高的一端是触动神圣的感情的,低的一端是触动情欲的,那么我的爱情,的确是抓住了那高端的极限。当然我也是人,本身是离不开情欲的,但是我那望着小姐的眼和想着小姐的心,却丝毫没有沾染一点情欲的意味。
私は母に対して反感を抱(いだ)くと共に、子に対して恋愛の度を増(ま)して行ったのですから、三人の関係は、下宿した始めよりは段々複雑になって来ました。もっともその変化はほとんど内面的で外へは現れて来なかったのです。そのうち私はあるひょっとした機会から、今まで奥さんを誤解していたのではなかろうかという気になりました。奥さんの私に対する矛盾した態度が、どっちも偽りではないのだろうと考え直して来たのです。その上、それが互(たが)い違(ちが)いに奥さんの心を支配するのでなくって、いつでも両方が同時に奥さんの胸に存在しているのだと思うようになったのです。つまり奥さんができるだけお嬢さんを私に接近させようとしていながら、同時に私に警戒を加えているのは矛盾のようだけれども、その警戒を加える時に、片方の態度を忘れるのでも翻すのでも何でもなく、やはり依然として二人を接近させたがっていたのだと観察したのです。ただ自分が正当と認める程度以上に、二人が密着するのを忌(い)むのだと解釈したのです。お嬢さんに対して、肉の方面から近づく念の萌(きざ)さなかった私は、その時入(い)らぬ心配だと思いました。しかし奥さんを悪く思う気はそれからなくなりました。
我对那位母亲怀有反感的同时,却对她女儿的爱情越来越深,所以我们三个人的关系,慢慢变得比刚来公寓的时候复杂了。但是这种变化只在内心里,几乎没有表露出来。不久,由于一个偶然的机会,我才发觉以前误解了夫人。于是我又觉得夫人对我矛盾的态度,无论哪一方都不是虚伪的了,而且也并非在交替地支配着她的心,两者一直同时并存在她的胸中。总之我观察的结果是,夫人愿意尽量让小姐同我接近,而同时又对我怀有戒心。这虽然有些矛盾,但是,怀有这种戒心的时候并不是忘记了或推翻了另一种态度。依然还是愿意让我们两个人接近的。只是提防这种接近不要超越她所认为的正当范围。那时我曾想过,我对小姐并没起过情欲的念头,这种担心是多余的。可是从那以后,我对夫人的反感却消失了。
主播介绍
本期主播:魏衍
本期编辑:LMN
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