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今天将由主播阿花继续带我们分享
蟹工船(20)
では、はじめましょう!
蟹工船(20)
仕事の切れ目が出来たので、学生上りが一寸の間風を避けて、荷物のかげに腰を下していると、炭山(やま)から来た漁夫が口のまわりに両手を円く囲んで、ハア、ハア息をかけながら、ひょいと角を曲ってきた。
劳作告一段落的时候,学生工坐在货堆后面避了一会儿风。从矿山来的渔工双手在唇边合拢,气喘吁吁地一晃儿拐弯走来。
「生命(えのぢ)的(まと)だな!」それが――心からフイと出た実感が 思わず学生の胸を衝(つ)いた。「やっぱし炭山と変らないで、死ぬ思いばしないと、生(え)きられないなんてな。――瓦斯(ガス)も恐(お)ッかねど、波もおっかねしな」
“简直玩命!”这句无意中发自内心的感慨使学生胸口受到一击。“和矿山也没什么两样,不豁出命,就别想活。瓦斯可怕,可波浪也够吓人的!”
昼過ぎから、空の模様がどこか変ってきた。薄い海霧が一面に――然(しか)しそうでないと云われれば、そうとも思われるほど、淡くかかった。波は風呂敷でもつまみ上げたように、無数に三角形に騒ぎ立った。風が急にマストを鳴らして吹いて行った。荷物にかけてあるズックの覆(おお)いの裾がバタバタとデッキをたたいた。
中午过后,天空起了变化。到处笼罩着淡淡的海雾——淡得若说没有也未尝不可——波涛犹如被抓起的包袱皮哗然立起无数三角形。风出声地陡然掠过桅杆。货堆上盖的帆布底端“啪啦啪啦”打着甲板。
「兎が飛ぶどオ――兎が!」誰か大声で叫んで、右舷(うげん)のデッキを走って行った。その声が強い風にすぐ ちぎり取られて、意味のない叫び声のように聞こえた。
“跑兔子了,兔子!”有人大声喊着跑过甲板。声音当即被狂风撕裂刮走,听起来像是无谓的喊叫。
もう海一面、三角波の頂きが白いしぶきを飛ばして、無数の兎があたかも大平原を飛び上っているようだった。――それがカムサツカの「突風」の前ブレだった。にわかに底潮の流れが早くなってくる。船が横に身体をずらし始めた。今まで右舷(うげん)に見えていたカムサツカが、分らないうちに左舷(さげん)になっていた。――船に居残って仕事をしていた漁夫や水夫は急に周章(あわ)て出した。
三角形浪尖已经白亮亮在整个海面溅起无数浪花,宛如无数白兔在大平原上奔腾跳跃。这是堪察加海“风暴”的前兆。暗潮的流速突然加快。船开始打横。刚才还在右舷的堪察加海不觉之间出现在左舷。留在船上作业的渔工和水手忽然慌张起来。
すぐ頭の上で、警笛が鳴り出した。皆は立ち止ったまま、空を仰いだ。すぐ下にいるせいか、斜め後に突き出ている、思わないほど太い、湯桶のような煙突が、ユキユキと揺れていた。その煙突の腹の独逸(ドイツ)帽のようなホイッスルから鳴る警笛が、荒れ狂っている暴風の中で、何か悲壮に聞えた。――遠く本船をはなれて、漁に出ている川崎船が絶え間なく鳴らされているこの警笛を頼りに、時化(しけ)をおかして帰って来るのだった。
警笛在头顶拉响。大家原地不动,仰望天空。或许因为就站在烟囱下面,那向后斜着伸出的、粗得令人意外的木桶般的烟囱反复摇晃不止。从烟囱肚子上那状如德国帽的汽笛中拉响的警笛,在风暴中听起来很有些悲壮。远离母船捕蟹的作业船听得这持续不断的警笛声,开始顶着惊涛骇浪返航。
今日主播
主播/阿花
翻译/林少华
小编/小小铭
责编/日语之声
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